高齢者と睡眠時無呼吸

高齢者と睡眠時無呼吸

加齢による睡眠時無呼吸症候群の特徴

加齢による睡眠時無呼吸症候群の特徴

加齢とともに気道周辺の筋肉が緩んで気道が狭くなりやすいため、年齢とともに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は高くなります。また、加齢とともに深い睡眠を得にくくなり、呼吸の安定性が低下するため、睡眠中の酸素不足に陥りやすいのも特徴です。

ご家族の皆さんへ

当院の経験では、高齢者の受診はご家族による指摘がきっかけとなるケースが大半を占めます。中でも「夫・妻の呼吸が止まっているのが心配」という相談が特に多いため、ご家族の気づきが診断の重要な手がかりとなっています。

睡眠時無呼吸症候群では大きないびきを伴うことが多いため、放置は患者さん自身だけではなく、ご家族の方の睡眠の質にも影響します。ご家族全体の快適な眠りと健康のためにも、早めの受診を促してあげてください。

高齢者特有の症状と見逃されやすいサイン

夜間・睡眠中の症状

高齢者の睡眠時無呼吸症候群は、典型的ないびきや日中の眠気以外にも様々な症状を示します。夜間頻尿は特に重要なサインで、睡眠時無呼吸により分泌されるホルモンの影響で尿量が増加します。また、朝起きた時の頭痛や倦怠感、記憶力の低下なども現れやすい症状です。

認知機能への影響

認知機能への影響は深刻で、睡眠時無呼吸症候群により認知症の発症リスクが大きく増加することが知られています。「最近物忘れが多くなった」「以前と比べて集中力が続かない」といった症状は単なる加齢現象として片付けられがちですが、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

基礎疾患への影響

血圧や血糖値のコントロール悪化も重要なサインです。睡眠時無呼吸により交感神経が活性化し、高血圧や糖尿病の管理が困難になることがあります。内服薬を調整しても改善しない場合は、睡眠時無呼吸症候群の存在を疑う必要があります。

高齢者に適した治療選択

治療適応の慎重な判断

高齢者の睡眠時無呼吸症候群治療では、患者さんの年齢や基礎疾患などを総合的に考慮した治療選択が重要です。治療による利益と負担を慎重に検討し、患者さんの価値観を尊重した治療方針を決定します。

適切なCPAPの提供

CPAP(シーパップ)療法を行う場合は、事前に鼻づまりの治療を行い、CPAP使用の快適性を向上させることで、治療継続率の改善を図っています。また、マスクの選択や設定圧の調整においても、患者さんの体格や感覚に配慮した細やかな対応を行います。

生活指導と環境調整

薬剤の見直しや睡眠環境の改善も重要な治療要素です。不要な睡眠薬の減量や、適切な就寝姿勢の指導により、症状の軽減を図ります。また、ご家族へは緊急時の対応方法や、日常的な観察ポイントをお伝えします。

長期的な健康管理の視点

高齢者の睡眠時無呼吸症候群治療は、単なる症状改善だけでなく、認知症予防や心血管疾患の管理、QOL(生活の質)の向上を目指した包括的なアプローチが必要です。当院では定期的な経過観察により、治療効果の評価と必要に応じた治療方針の調整を行います。

高齢者にCPAPを用いる場合は生涯使用となることが多いですが、患者さんとご家族が納得して治療を継続できるよう、十分な説明と継続的なサポートを提供しています。また、他の診療科との連携により、基礎疾患の管理と睡眠時無呼吸症候群の治療を両立させています。

当院での専門サポート

当院での専門サポート

高齢者の睡眠時無呼吸症候群は、耳鼻咽喉科の専門的な評価により適切な診断と治療が可能です。文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、患者さんの年齢に応じた配慮と価値観を尊重した治療方針で、健やかな睡眠とQOLの向上をサポートいたします。どんなことでもお気軽にご相談ください。