発育不全の根本原因としての睡眠時無呼吸症候群

お子さんの身長や体重の成長が同年齢と比べて遅れている場合、その背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることがあります。睡眠時無呼吸症候群により睡眠の質が低下すると、成長に欠かせない成長ホルモンの分泌が減少します。成長ホルモンは主に深い睡眠中に分泌されるため、睡眠中の慢性的な酸素不足により、十分な分泌が妨げられてしまいます。
文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、成長・発育不良を最重要指標として診断を行っています。お子さんの初診時には身長・体重を測定し、成長曲線との比較を詳細に行います。同年齢のお子さんと比較して明らかな差が認められる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を積極的に検討します。
SASが成長に与える具体的な影響
発育への影響
適切な睡眠が得られないことで成長ホルモンの分泌が妨げられ、身長の伸びが同年齢の平均を下回ることがあります。特に3歳から7歳頃の成長期では、この影響が顕著です。また、睡眠の質の低下による食欲不振や消化吸収の低下により、適切な体重増加を得られないこともあります。
知的発達への影響
慢性的な睡眠不足は脳の発達にも深刻な影響を与えます。集中力の低下、学習能力の遅れ、記憶力の問題などが現れ、学校生活や日常生活に支障をきたします。これらは発達障害や学習障害などと間違われることがあり、睡眠時無呼吸症候群の発見を遅らせる原因となります。
免疫機能への影響
睡眠の質の低下により免疫機能が低下し、風邪や感染症にかかりやすくなります。また、アレルギー症状の悪化や、慢性的な体調不良も認められることがあります。
発育不全を見逃さないためのポイント
成長の遅れ
定期的な身長・体重の測定により、お子さんの成長に遅れがないかを確認することが重要です。母子手帳などにある成長のグラフ(成長曲線)で、お子さんの身長や体重が同年齢の平均的な範囲から外れていないか、これまでと比べて成長のペースが遅くなっていないかを確認しましょう。例えば、今まで順調に伸びていたのに、急に伸びが悪くなった場合は注意が必要です。
食事・睡眠時の様子
食欲不振、食事に時間がかかる、硬いものを避けるなどの変化も重要なサインです。これらは口呼吸による口腔内の乾燥や、睡眠不足による食欲調節ホルモンの異常と関連している可能性があります。
性格や行動の変化
以前と比べて癇癪を起こしやすい、集中力が続かない、落ち着きがないなどの変化も、睡眠時無呼吸症候群のサインである可能性があります。症状から注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断を受ける場合もあるため、注意が重要です。
当院での診断アプローチ
成長度合いの詳細分析
当院では発育不全の原因として睡眠時無呼吸症候群を疑う場合、多角的な評価が必要だと考えています。まずは詳細な問診と身体計測により、発育不全の程度と特徴を把握します。
気道の評価
耳鼻咽喉科としての専門性を活かし、扁桃腺やアデノイドの肥大程度を正確に評価します。これらの肥大は小児睡眠時無呼吸症候群の主要な原因であり、気道狭窄の程度を詳細に観察することで、症状との関連性を明確にします。
睡眠状態の総合評価
いびきの有無や寝相の悪さ、夜間の覚醒、朝の機嫌の悪さなど、様々な睡眠関連症状を総合的に評価します。お子さんの姿を普段から見ている親御さんからの情報が重要で、詳細な情報共有が正確な診断と治療につながります。
保護者の方へ~治療タイミングの重要性~

お子さんの成長の遅れや発育不全は、多くの場合、適切な診断と治療により大幅な改善が期待できます。身長や体重の伸び悩み、食欲不振、行動の変化などでご心配な点がございましたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性も含めて検査をご検討ください。成長期を逃してしまうと、後から治療を行っても失われた成長を完全に取り戻すことは困難になります。早めの相談が重要です
当院では、客観的な所見に基づく丁寧な説明により、保護者の方にご納得いただける診断と治療方針をご提案いたします。お子さんの健やかな成長のため、耳鼻咽喉科の専門的な診療でサポートいたします。