扁桃腺・アデノイド肥大と睡眠時無呼吸症候群

扁桃腺・アデノイド肥大と睡眠時無呼吸症候群

扁桃腺・アデノイド肥大による気道閉塞

扁桃腺・アデノイド肥大による気道閉塞

扁桃腺(口蓋扁桃)は喉の奥の両側に、アデノイド(咽頭扁桃)は鼻の奥の上咽頭に存在するリンパ組織で、どちらも体内への細菌・ウイルスの侵入を防ぐ役割があります。これらが肥大すると、気道の最も狭い部分である咽頭部で物理的な閉塞を引き起こし、睡眠中の呼吸を妨げます。扁桃腺とアデノイドの肥大は、小児から成人まで幅広い年齢層で睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因となります。

年齢別の症状と影響

小児期の症状

お子さんの場合では、顎の成長に対して扁桃腺やアデノイドの相対的な大きさが問題となることが多く、小児睡眠時無呼吸症候群の主な原因となります。

小児の扁桃腺・アデノイド肥大による睡眠時無呼吸症候群で注意が必要なのは、成長・発育への影響です。睡眠の質の低下によって成長ホルモンの分泌障害が起こり、身長の伸び悩みや体重増加不良などにつながります。夜尿症(おねしょ)の継続、癇癪の増加、集中力の低下なども特徴的な症状です。

成人期の症状

成人の場合、扁桃腺肥大による症状は大きないびき、睡眠中の呼吸停止などとして現れます。また、慢性的な咽頭痛や嚥下困難などの症状も併存することがあります。

当院での診断アプローチ

内視鏡による詳細観察

鼻腔から咽頭までの気道全体を内視鏡(ファイバースコープ)で詳しく観察し、扁桃腺とアデノイドの状態を正確に評価します。医学的な分類基準に基づいて大きさを評価し、気道への影響を判定します。

総合的な視点での気道の状態評価

扁桃腺・アデノイド肥大以外の要因も詳しく調べます。鼻中隔弯曲症、鼻茸(鼻ポリープ)、アレルギー性鼻炎などの疾患や、舌の大きさ、顎の形状なども含めた多角的な評価を行います。複数の要因が組み合わさって睡眠時無呼吸症候群を引き起こしている場合も適切に診断できます。

睡眠検査の実施

ご自宅でできる睡眠検査(簡易検査)を実施し、AHI(無呼吸低呼吸指数)による客観的な評価を行います。内視鏡所見と睡眠検査の結果を総合的に判断し、手術適応や治療方針を決定します。

より詳しい評価が必要な場合には、一泊入院による精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)を行うことで、睡眠時無呼吸症候群の確定診断が可能です。

※精密検査は提携先病院をご紹介して実施します

摘出手術の適応と効果

手術適応の判断基準

扁桃腺・アデノイド肥大による睡眠時無呼吸症候群の場合、根治的な治療方法として摘出手術があります。特にこれらが主な原因となる小児睡眠時無呼吸症候群では、比較的よく行われる治療の一つです。

6歳未満のお子さんで症状が軽度であれば、自然縮小を期待して経過観察を行うこともあります。ただし、明らかな成長・発育不良がある場合は早期の手術も検討します。

※入院治療が必要になりますので、提携先病院をご紹介します

手術による改善効果

手術による扁桃腺・アデノイド摘出は、適応を適切に選択すれば非常に効果的な治療方法です。手術直後から無呼吸やいびきが消失することが多く、お子さんの場合は成長・発達への影響も抑えられます。

保存的治療

軽症例や手術適応外の患者さんには、アレルギー性鼻炎の治療、鼻づまりの改善、睡眠環境の整備などにより症状の軽減を図ります。小さなお子さんの場合では、顎の適切な成長を促す歯科矯正治療との連携も重要な選択肢となります。

根本治療による効率的な改善を

根本治療による効率的な改善を

扁桃腺・アデノイド摘出術により根本的な治療を行った場合、長期的に良好な予後が期待できます。ただし、他の要因(肥満、アレルギー性鼻炎など)が併存している場合は、これらの管理も継続的に行う必要があります。

特にお子さんでは成長期を逃さない適切なタイミングでの治療が重要です。気になる症状がございましたら、耳鼻咽喉科専門医のいる文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科へご相談ください。