子どもの睡眠時無呼吸症候群・いびき

子どもの睡眠時無呼吸症候群・いびき

子どもの睡眠時無呼吸症候群の特徴

子どもの睡眠時無呼吸症候群の特徴

子どもの睡眠時無呼吸症候群(SAS)で注意が必要なのは、成長・発育への直接的な影響です。これは睡眠中の慢性的な酸素不足により成長ホルモンの分泌が妨げられ、身長の伸び悩みや体重増加不良として現れるからです。同年齢のお子さんと比較して明らかな差が生じることが多く、これが診断の重要な手がかりとなります。

子どもの睡眠時無呼吸症候群の基準

睡眠時無呼吸症候群の診断では「無呼吸低呼吸指数(AHI)」という指標を用います。成人では一般的にAHI5以上の場合に睡眠時無呼吸症候群と診断しますが、子どもの場合は1以上で睡眠時無呼吸症候群の診断となります。

※睡眠時無呼吸症候群の診断基準についてはこちら

(※)1時間に起きた10秒以上の無呼吸・低呼吸の回数

扁桃腺やアデノイドの肥大が主な原因

子どもの睡眠時無呼吸症候群は扁桃腺やアデノイドの肥大が主な原因となることが多く、組織が相対的に大きい3歳から7歳頃に症状が顕著になります。この時期は顎の成長に対して扁桃腺の縮小が追いつかず、気道が狭くなりやすいのです。

見逃されやすい症状とサイン

夜間の症状

子どもの睡眠時無呼吸症候群では、大きないびきに加えて呼吸の浅さや口呼吸も目立ちます。寝汗をかきやすい、寝相が悪い、夜中に何度も目を覚ます、年齢に不相応な夜尿症(おねしょ)なども重要なサインです。

日中の行動変化

睡眠時無呼吸症候群による睡眠の質の低下により、日中の行動に様々な変化が現れます。癇癪を起こしやすくなる、集中力が続かない、落ち着きがないなど、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に似た症状を示すことがあります。

食事・嗜好の変化

口呼吸による口の中の乾燥や、味覚・嗅覚への影響により、食事の好みが変わることがあります。食べるのが遅くなったり、硬いものを避けるようになったりする変化も、気道の問題と関連している可能性があります。

当院での診断アプローチ

年齢に応じた配慮

当院ではお子さんの睡眠時無呼吸症候群の診断において、年齢に応じた特別な配慮を行っています。まず、成長・発育の詳細な評価から始め、身長・体重の推移を成長曲線と照らし合わせて確認します。わずかな成長の遅れも見逃さず、客観的な所見により保護者の方への説明を行います。

専門的な気道の構造評価

耳鼻咽喉科としての専門性を活かし、扁桃腺やアデノイドの肥大程度を正確に評価します。内視鏡(ファイバースコープ)を使用して気道の狭窄状態を詳細に観察し、どの部位でどの程度の閉塞が生じているかを具体的に把握します。また、鼻づまりの有無や程度も含めた包括的な気道評価を実施します。

お子さんへの配慮

保護者の方と連携し、お子さんにストレスをかけない方法で必要な情報を収集します。家庭での睡眠状況の詳細な聴取も、診断に重要な情報となります。

治療方針と手術適応の判断

年齢による治療タイミング

扁桃腺やアデノイドの肥大が原因となって睡眠時無呼吸を起こしている場合、小さなお子さんでは自然縮小を期待して経過観察を基本とします。しかし、明らかな成長・発育不良や重篤な症状がある場合は、より早期の治療介入を検討します。

症状の程度にもよりますが、小学生以上のお子さんの場合には手術も検討します。適切な扁桃腺・アデノイドの摘出により、劇的な改善が期待できることも多いです。

手術以外の治療方法

軽症例や手術適応外のお子さんには、鼻づまりの治療、アレルギー性鼻炎の管理、睡眠環境の改善などを組み合わせた保存的治療を行います。また、顎の成長を促す歯科矯正治療との連携も重要な選択肢となります。

保護者の方へ

保護者の方へ

子どもの睡眠時無呼吸症候群は、早期発見と適切な治療により大幅な改善が期待できます。成長・発育への影響を最小限に抑えるため、気になる症状がございましたら早めにご相談ください。「いびきをかく」「寝相が悪い」「集中力がない」といった些細な変化も、重要なサインである可能性があります。

文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、お子さんとご家族が安心して治療を受けられるよう、年齢に応じた丁寧な説明と継続的なサポートを提供しています。お子さんの健やかな成長のため、耳鼻咽喉科の専門的な診療でお手伝いいたします。