起床時の頭痛・倦怠感はSASのサイン?

朝起きた時に頭痛がする、体がだるい、疲れが取れないといった症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的なサインの一つです。睡眠時無呼吸症候群では睡眠中に繰り返される呼吸停止により、脳や体が慢性的な酸素不足状態になります。この酸素不足が、起床時の頭痛や全身の倦怠感を引き起こす主な原因となります。
早めのご相談をおすすめします
「十分に寝ても疲れが取れないのは年齢やストレスのせい」と考えがちですが、実は治療により改善可能な場合もあります。朝から元気に活動できる状態を取り戻すことは、QOL(生活の質)を大きく向上させます。
文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、耳鼻咽喉科の専門性を活かして症状の根本原因を特定し、患者さんに適した治療方法をご提案いたします。快適な朝を迎えられるよう、早めにご相談ください。
起床時の頭痛・倦怠感が起こるメカニズム
睡眠中の酸素不足
呼吸停止により血中の酸素濃度が低下すると、脳の血管が拡張して頭痛を引き起こします。この頭痛は朝方に強く現れ、起床後数時間で自然に軽減することが特徴です。
二酸化炭素の蓄積
呼吸が妨げられることで、血液中に二酸化炭素が蓄積します。これにより血液が酸性に傾き、頭痛や倦怠感の原因となります。
睡眠の質の低下
呼吸停止のたびに脳が覚醒反応(短時間の目覚め)を起こすため、深い睡眠が得られません。浅い睡眠では疲労回復が十分に行われず、朝起きても疲れが残ったままの状態になります。
ストレスの蓄積
睡眠中の酸素不足は体にとって大きなストレスとなります。ストレスが蓄積することで、朝の倦怠感や気分の落ち込みとして現れます。
放置のリスク
日中のパフォーマンス低下
起床時の頭痛や倦怠感の放置は、日中のパフォーマンス低下につながります。仕事や家事への集中力が欠けて効率が悪くなり、周囲からの評価にも影響を与える可能性があります。
メンタル面への悪影響
うつ症状や不安感が現れやすくなり、精神的な健康にも悪影響を与えます。
他の疾患のリスク増大
慢性的な睡眠不足が続くと免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。さらに、慢性的な体の酸素不足は高血圧、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な疾患のリスクを高めてしまいます。
診断の流れ
Step01
問診・症状の評価
頭痛の性質、出現時間、継続時間、倦怠感の程度などを詳しく伺います。また、睡眠時間、いびきの有無、夜中の覚醒などについても確認し、症状の背景を探ります。
Step02
気道の状態評価
鼻腔から咽頭まで気道全体の状態を内視鏡(ファイバースコープ)で観察します。鼻中隔弯曲症、慢性鼻炎、扁桃腺肥大などの構造的問題が、睡眠の質の低下や症状の原因となっていないかを詳しく評価します。
Step03
簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、簡易睡眠検査をご案内します。装置を着けて一晩眠っていただき、睡眠中の呼吸状態、血中酸素濃度の変動を測定することで、朝の症状との関連性を明らかにします。
起床時の頭痛・倦怠感に対する治療
CPAP・マウスピース療法
睡眠時無呼吸症候群が確認された場合は、CPAP(シーパップ)やマウスピース(口腔内装置:OA)による治療を検討します。治療開始後、多くの患者さんが数日から数週間で朝の頭痛や倦怠感の改善を実感されています。
生活習慣の改善
適正体重の維持、規則正しい睡眠習慣、アルコールの制限などを指導します。睡眠環境の改善も重要で、寝室の温度や湿度の調整、適切な枕の選択なども症状改善に役立ちます。
原因に応じた治療
鼻づまりが主な原因の場合は、アレルギー性鼻炎の薬物治療や点鼻薬による症状コントロール、必要に応じて鼻中隔弯曲症の手術的治療を行います。根本的な原因に対処することで症状改善が期待できます。