夜中に目が覚める・眠りが浅いのはSASのサイン?

夜中に何度も目が覚める、眠りが浅くて熟睡感がない、朝まで続けて眠れないといった症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要なサインです。「年齢のせい」と思い込んでいる方も多いですが、実は治療可能な病気が原因かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群では、呼吸が止まるたびに脳が酸素不足を感知し、覚醒反応を起こします。この覚醒はごく短時間なため患者さんご自身では気づかないことが多いのですが、睡眠の連続性が断たれ、深い睡眠が得られなくなります。
正常な睡眠では、浅い睡眠から深い睡眠へと段階的に移行し、この周期が一晩に数回繰り返されます。しかし、頻繁な覚醒によりこの自然なリズムが乱れ、回復的な睡眠が取れなくなってしまいます。
早めのご相談をおすすめします
夜中の覚醒や眠りの浅さは、適切な治療により改善可能な症状です。耳鼻咽喉科の専門医がいる文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、適切な検査で睡眠の質の低下の根本原因を特定し、患者さんに適した治療方法をご提案いたします。一緒に質の良い睡眠を取り戻しましょう。
夜中に目が覚める・眠りが浅くなるメカニズム
呼吸停止による覚醒反応
睡眠中に呼吸が止まると、血中の酸素濃度が低下し、脳が危険を感知して覚醒させます。この反応により呼吸は再開しますが、睡眠の連続性が妨げられ、深い睡眠段階に到達できなくなります。
気道の振動による刺激
いびきや気道の振動により、喉に刺激が生じて目が覚めます。特に大きないびきをかく方は、音や振動により自身が目覚めてしまうこともあります。
自律神経の乱れ
睡眠中の酸素不足により、自律神経のバランスが崩れます。これにより心拍数や血圧が不安定になり、体の覚醒状態が高まり、眠りが浅くなります。
ホルモン分泌の異常
質の悪い睡眠により、睡眠を促すメラトニンや成長ホルモンの分泌が不十分になります。これらのホルモンバランスの乱れが、さらに睡眠の質を悪化させる悪循環を生み出します。
放置のリスク
日中のパフォーマンス低下
眠りの浅さや頻繁な覚醒を放置すると、日中のパフォーマンスが低下する恐れがあります。集中力や記憶力の低下、判断力の鈍化により、仕事や学習の効率が低下する恐れがあります。
精神面への悪影響
睡眠の質の低下は精神面へも悪影響を及ぼします。精神的に不安定になりやすく、イライラ感やうつ症状が現れることがあります。
他の疾患のリスク増大
慢性的な睡眠不足により免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。さらに酸素不足による血管への負担増大は、高血圧、糖尿病、心血管疾患のリスクを高めます。質の良い睡眠は健康維持の基盤であり、これが損なわれることで様々な病気の発症リスクが増加します。
診断の流れ
Step01
問診による睡眠パターンの詳細な聞き取り
何時頃に目が覚めるか、覚醒の回数、再入眠の困難さ、朝の疲労感などを詳しく伺います。また、いびきの有無やパートナーからの指摘についても確認し、症状の全体像を把握します。
Step02
気道の状態評価
鼻腔から咽頭まで気道全体の状態を内視鏡(ファイバースコープ)で詳しく観察します。鼻中隔弯曲症、慢性鼻炎、扁桃腺肥大など、睡眠の質に影響を与える構造的問題を的確に診断します。
Step03
睡眠検査(簡易検査)
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、ご自宅でできる簡易検査をご案内します。装置を装着して普段どおり一晩眠っていただき、睡眠中の呼吸状態、血中酸素濃度、覚醒の回数などを客観的に測定し、眠りの浅さの原因を明らかにします。
夜中に目が覚める・眠りが浅い状態への治療
CPAP・マウスピース療法
睡眠時無呼吸症候群が確認された場合は、CPAP(シーパップ)やマウスピース(口腔内装置:OA)による治療を検討します。呼吸の安定により覚醒回数が減少し、深い睡眠が得られるようになり、熟睡感が改善されます。
生活習慣の改善
睡眠環境の改善、規則正しい睡眠習慣、適度な運動などの生活指導を行います。寝室の温度や照明の調整、就寝前のリラックス方法なども、睡眠の質の向上に重要な要素です。
原因に応じた治療
解剖学的要因による鼻づまりが主な原因の場合は、アレルギー性鼻炎の薬物治療や鼻腔の通気性を改善する手術により、鼻呼吸を回復させ睡眠の質を向上させます。扁桃腺肥大などの構造的問題に対しても外科的治療を検討します。