睡眠時の呼吸停止をご家族から指摘されたら

ご家族やパートナーから「寝ている時に呼吸が止まっている」「息をしていない時間がある」と指摘されることは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の明確なサインです。睡眠中はご自身の状態に気づけないため、周囲の方からの指摘が診断の重要な手がかりとなります。
呼吸停止の後には必ず大きないびきや「はっ」という息を吸う音とともに呼吸が再開します。睡眠時無呼吸症候群ではこのパターンを繰り返すため、同じ部屋で寝ている方は大きな不安を感じられるでしょう。
ご家族の睡眠時の異常が気になったら
睡眠中の大きないびきや頻繁な呼吸停止など、睡眠時無呼吸症候群に典型的な症状があっても、患者さんご自身ではほとんど自覚できません。周囲の方からの指摘が症状改善の鍵となります。
文京区本駒込の本駒込耳鼻咽喉科では、耳鼻咽喉科の専門性を活かして呼吸停止の根本原因を特定し、患者さんに適した治療方法をご提案いたします。ご家族の健康のためにも、気になる症状がある場合は早めにご相談ください。
睡眠中に呼吸が止まるメカニズム
気道の物理的な閉塞
睡眠中に舌や軟口蓋(口の奥の柔らかい部分)の筋肉が緩み、重力により気道が狭くなったり完全に塞がったりします。これにより空気の流れが止まり、呼吸停止が起こります。
気道が狭い
扁桃腺やアデノイドの肥大、下顎が小さい、舌が大きい、首が太いなどにより、元々気道が狭い方は呼吸停止を起こしやすくなります。
肥満による気道の圧迫
首まわりに脂肪がたまると、気道を外側から圧迫して睡眠中の気道狭窄を助長します。事実、体重増加とともに、呼吸停止の頻度や重症度が増す傾向にあります。
飲酒や薬物の影響
アルコールや睡眠薬は筋肉の緊張を緩める作用があるため、気道を支える筋肉の働きが弱くなり、呼吸停止が起こりやすくなります。
放置のリスク
脳血管障害のリスク増大
睡眠中の慢性的な酸素不足は、体全体の酸素不足につながり、心臓や脳に深刻な負担をかけます。長期化すると、高血圧、心不全、心筋梗塞、脳梗塞などの重篤な疾患のリスクが大きく高まります。
日中のパフォーマンス低下
呼吸停止のたびに脳が覚醒するため、睡眠の質が低下します。これにより日中の強い眠気、集中力低下、記憶力の減退などが現れ、仕事や日常生活に大きな支障をきたします。
日中の眠気による交通事故リスク
頻繁な呼吸停止は睡眠の質を低下させ、日中の強い眠気を引き起こします。特に危険なのは運転中や作業中の居眠りによる事故です。ご自身だけでなく周囲の方の安全にも関わる重大な問題です。
診断の流れ
Step01
問診・症状の評価
ご家族からの指摘内容、呼吸停止の頻度、継続時間、いびきの状況などを詳しく伺います。ご家族による普段の様子のご説明があると、より正確な診断につながります。可能であればご家族の同席をおすすめいたします。
Step02
気道の状態評価
気道全体の状態を内視鏡(ファイバースコープ)で詳しく観察します。鼻中隔弯曲症や副鼻腔炎、扁桃腺肥大など、呼吸停止の原因となる構造的問題を的確に診断します。
Step03
睡眠検査(簡易検査)
睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、睡眠検査が不可欠です。まずはご自宅でできる簡易検査から始め、呼吸停止の回数、血中酸素濃度の低下などを客観的に測定します。
睡眠中の呼吸停止に対する治療
CPAP・マウスピース療法
睡眠時の酸素不足を改善するため、原因に応じてCPAP(シーパップ)やマウスピース(口腔内装置:OA)による治療を行います。適切な治療ができれば、短期間で快適な眠りと症状改善が実現するケースも多いです。
生活習慣の改善
体重管理、禁酒、側臥位睡眠などの生活指導を行います。肥満の改善は特に重要で、体重減少により呼吸停止の頻度が改善されることもあります。
原因に応じた治療
鼻づまりが原因の場合は、原因に応じた治療を行って鼻呼吸を改善し、呼吸停止を軽減します。アレルギー性鼻炎に対しては薬物療法を試みるほか、鼻中隔弯曲症や扁桃腺肥大などの構造的問題では手術も視野に入れながら根本的な改善を目指します。